千葉県柏市、柏駅徒歩2分のスペチアーレ司法書士事務所

SATO YUTO JUDICIAL SCRIVENER OFFICE

スペチアーレ司法書士事務所(旧司法書士佐藤雄人事務所)

千葉県柏市(JR柏駅・東武アーバンパークライン柏駅徒歩2分)の司法書士事務所です。
不動産登記(相続・遺言手続)、会社登記(株式会社設立・役員変更)等の従来からの
登記手続はもちろん遺産管理承継業務、裁判業務、成年後見、民事信託等新しい手続
についても積極的に取り組んでおります。

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遺産分割協議と相続登記手続

共同相続登記の前後、また、家庭裁判所の関与の有無によって登記手続が異なります。

共同相続登記が未了の場合

遺産分割の効力は、相続開始時に遡って生じます。遺産分割協議の結果によって、特定の不動産を取得した相続人は、被相続人から当該不動産を直接承継したものと解され、共同相続登記を経由しなくても、「相続」を原因とする権利移転の登記申請をすることができます(昭19.10.19民事甲692)。

この場合は、相続したとされる者からの単独申請となります。実際、よく見られる態様であり、遺産分割協議書を登記原因証明情報の一部として提供します。

遺産分割について、家庭裁判所の審判、調停が成立した場合

この場合も前記と異なる点はありません。しかし、登記原因証明情報としては確定審判書や調停調書の正本または謄本を提供する必要があります。

共同相続登記が経由されている場合

この場合に、遺産分割協議の結果を公示するためには、登記原因を「遺産分割」として、共同申請により、持分移転の登記申請をおこないます(昭28.8.10民事甲1392)。登記原因証明情報としては、遺産分割協議書が該当します。

家庭裁判所の関与がある場合でも、共同申請である以上、登記義務者の登記識別情報と印鑑証明書が必要となります。ただし、登記手続きを命ずる条項のある審判書や調停調書を登記原因証明情報とし、「判決」による単独申請とするときは、これらの「謄本」ではなく「正本」の提供が必要となります。この場合、登記識別情報や印鑑証明書は不要です。

遺産分割と第三者との関係

「相続開始後、遺産分割前」までに生じた第三者との関係

民法909条ただし書によって処理されます。たとえば、遺産分割前に当該相続人の相続分を差し押さえた債権者は、対抗要件を具備しているときは、保護されると解されます(最判昭50.11.7)。

「遺産分割後」に生じた第三者との関係

民法177条によって処理されます。遺産分割は新たな物権変動が生じたのと実質上、異ならないからとされています。

法定相続分と異なる内容の遺産分割協議

法定相続分と異なる結果を内容とする、遺産分割協議も有効とされています。遺産分割の基準としては、遺産に属する物の種類や、相続人の年齢等、一切の事情を考慮してこれをする。と規定されています。

しかし、実際には「相続人中の一人が遺産の全部を取得する」との遺産分割協議がされることも少なくありません。この場合、外形上は法定相続分に反する内容となると考えられますが、各共同相続人の自由な意思に基づく遺産分割協議であれば、その結果は尊重されます。

初めから相続人とならない相続放棄とは違い(そもそも遺産分割協議に参加できない)、有効な遺産分割協議により、法定相続分と異なり、自己の取得分が全くないとしても、それは遺産分割協議に参加した結果と考えられるので、相続放棄と構成するのは相当ではありません。

負担付き、条件付きの遺産分割協議

「共同相続人中のAは、他の相続人から生活援助を受けることを前提として、遺産は全く取得しない」「千葉県松戸市の某不動産を取得する代わりに、金500万円を相続人Bに支払う」といったような負担付き、条件付きの遺産分割協議も有効です。

相続登記申請時に、これらの「負担」「条件」が履行されたことの証明は不要とされています。

数次にわたって相続が開始したときの遺産分割協議

数次にわたって相続が開始したときは、各々の相続を順次に登記するのが原則ですが、中間の相続が「単独相続」である場合には、中間の相続登記を省略することができます。

たとえば、登記名義人からAが相続し、更にAの相続人Bが、相続によって所有権を取得した場合、登記原因は「年月日A相続、年月日相続」とします。中間の相続形態が「単独相続」であれば、中間の相続による所有権移転登記を省略しても、所有権移転の登記原因中に中間の相続の過程が公示されていること、また、これを認めても中間の相続人の利害を害することもない、といったところがその理由とされています。

この中間の登記が単独相続になる形態は、家督相続の場合のほか、遺産分割協議や、相続放棄、特別受益者の存在による場合も含むと解されています(昭30.12.16民事甲2670)。

民法909条(遺産の分割の効力)

遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

民法177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件

不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

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